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外国人留学生にとって日本での就職は難しいか?

外国人労働者の受け入れ拡大に向けて、日本政府は新たな在留資格の創設を目指しています(詳しくはこちらの記事を参照してください)。

 

 一方、従来の法律に基づく在留資格、特に「専門的・技術的分野」の在留資格により日本企業に就労する外国人を日本政府では「高度外国人材」と呼び、その受け入れ拡大を目指しています。

 「高度外国人材」とは、イメージで言えば、日本国内又は海外の大学を卒業し、日本の企業において研究者やエンジニア、海外進出等を担当する営業などに従事する外国人を想定しています。外国人留学生はその卵と言えます。

 それではどのくらの人数の外国人留学生が卒業し、その内、どのくらいの学生が日本で就職できているのでしょうか?

日本の留学生が日本国内で就職する人数は年々増加しています。その数は2016年度では14,493人でした。これは卒業生の46,559人の約31%です。約70%の学生が折角日本で学んだのに、母国へ帰ったり、日本以外の国で就職しちゃうなんて少しもったいないですよね(なお、卒業生の内、日本国内での就職を希望する学生が全体の63.6%ですので、日本国内での就職を希望する学生の二人に一人が日本国内で就職できているイメージです)。

下表は2009年からの卒業生と国内就職者の推移です。就職者数、就職率共に毎年確かに伸びていますが、日本政府は、この約30%という国内就職率を50%に引き上げることを目指しています。

ただ実際には、日本政府がいくら旗を振っても、現場では様々な課題があり、国内就職率を50%に引き上げるのはそんなに簡単ではありません。どんな課題があるのでしょうか?以下は、外国人留学生向けに行ったアンケートです。学生達は「就職活動上の課題」として以下を挙げています。

①外国人留学生向けの求人が少ない(38.5%)

②日本の就職活動の仕組みが分からない(33.8%)

③日本語による適正試験や能力試験が難しい(32.2%)

④業界研究や企業研究の仕方が分からない(29.0%)

⑤日本語での面接対応が難しい(25.5%)

⑥企業がどのような人材を求めているのか不明(24.8%)

⑦入社後の仕事内容が不明確(22.7%)

⑧日本語による書類の書き方が分からない(19.8%)

http://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/global/pdf/H26_ryugakusei_report.pdf

①について、昨今、日本企業の採用関係者の間では、「企業の採用説明会に来てくれる日本の学生がどんどん減っている」「外国人も日本人も分け隔てなく採用して育成していく必要がある」などの声が出ており、①のような状況は早晩改善されるのかなと思われます。

②や⑦は日本独特の就職方法や働き方の慣習が外国人からすると分かり難いという問題です。従来の日本企業の慣習では、採用した人材をどのような部署で働かせるのかについて採用段階では決まっていません。一旦採用して、その後幾つかの部署で働かせたり研修をしたりして適正を見極めてから本人の希望も確認しながら配置展開していくというようなやり方をします。また、より多くの仕事を経験させ所謂「ジェネラリスト」に育てようとする傾向もあります。この辺りが外国人から分かり難いのだと思います。これは⑥にもつながってくる問題です。

③⑤⑧は日本語の問題です。日本人ははっきり言ってしまえば、外国語が苦手です。ブルーカラー労働者だけでなく、ホワイトカラーのエリート層ですら、ビジネスレベルで外国語を使える方は多くはありません。それどころか外国人との簡易な日常会話すらアレルギーを持った人が多いです。そのため、どうしても仕事の現場では外国人側が日本語を話せないと、仕事が成立しないのです。就職試験において、適正試験・能力試験も日本語、面接も日本語、書類も日本語、となってしまうのはこのためです。その結果、日本語の苦手な優秀な学生よりも、あまり優秀ではないが日本語は上手という外国人の方を採用してしまうという企業が多いかもしれません。そんなことで良いのか?とも思いますが、これが現実です。

一方、雇う側の日本企業側にも言い分があります。以下は企業側から見た外国人留学生に就職活動で改善して欲しい点です。

①日本語能力が不十分(38.9%)

②日本企業における働き方の理解が不十分(36.9%)

③業界研究・企業研究が不十分(17.7%)

となっています。

やはりここでも①日本語能力と②日本独特の慣習について、外国人留学生と企業側にギャップが存在しているようです。

ジャパンインフォグループでも外国人向けのジョブフェアを行っていますが、多くの企業が日本語のできる外国人のみを採用対象にしています。「優秀なら日本語は多少できなくても問題ない」という会社は非常に稀です。

でも、「自分は日本語が苦手だから」「自分には日本の文化は理解できないから」とあきらめないでください。以下は、実際に外国人留学生を採用した日本企業が、なぜ外国人留学生を採用したのかを示した理由です(同アンケート)。

①社内の多様性を高め、職場を活性化するため(55.8%)

②国籍に関わらず選考した結果、留学生が採用された(55.8%)

③留学生の母国に関わらず海外事業を開拓・拡大するため(44.7%)

④専門能力を持った人材を獲得し、事業を高度化するため(28.1%)

⑤留学生の母国への海外事業を開拓・拡大するため(23.1%)

ご覧のように非常に前向きな理由です。海外展開を積極的に推し進め、国籍に関わらず能力や専門性で学生を判別しているフェアで合理的かつ積極的な企業をイメージすることができます。外国人留学生だって、こういう前向きな会社で働きたいはずです。

また、日本企業に就職した外国人留学生も皆さん非常に前向きです。同アンケートにおいて、日本企業へ就職した理由について以下のように述べています。

①将来日本企業の海外拠点で働きたいから(45.3%)

②日本企業の技術力が高いから(41.4%)

③日本語を使って仕事がしたいから(30.0%)

こちらも非常に前向きな学生の姿が目に浮かびます。日本語を懸命に勉強し、日本企業で技術を学び、将来的には母国で活躍したい、そんな希望に溢れた学生です。

このような前向きな企業が前向きな学生を採用し、Win/Winの関係を築く。こういうポジティブなスパイラルにより、結果として政府が目標とする外国人留学生の国内就職率50%が達成される。これが理想の姿と言えそうです。

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